HONYAKU

Introduction & Translation of Japanese/English literature & Culture 日本と英語の小説の紹介

Sunday, August 27, 2006

7.Inhaling the spore by Lawrence Weschler

7.Inhaling the spore by Lawrence Weschler

西中央アフリカのカメロニア熱帯雨林奥深くにはMegaloponera foetenという名の蟻がいる.地面付近で活動し,臭蟻という名の方が知られている.この大きな蟻は,人間の耳でも聞こえるような鳴き声を出すことができる,めずらしい蟻であり,落葉や熱帯雨林の中の非常に密生した地面近くの下草の間をえさをあさって生活している.
蟻がえさを探している途中で,Tomentella属の菌からでた微細な胞子を吸い込んで,菌に感染することがある.胞子は林冠のどこかから森の地面付近まで大量に雨のように降ってくるのだ.吸い込まれると,胞子は蟻の小さな脳の中に留まり,すぐに成長を始め,宿主である蟻の行動をひどく変えてしまう.見た目には苦しんで混乱したかのようで,やがて,その生涯ではじめて森の地面付近から離れて,ツルやシダの茎を根気強く登っていく.
成長を続ける菌に追い立てられるように,この蟻は,指示されたかのように,ある高さまでたどり着き,その植物にかみついてくっついてしまう.そして死ぬのを待つのだ.このようにして死んでしまった蟻は,熱帯雨林の一部ではありふれた光景だ.
そして菌自体は,生き続ける.蟻の脳を食い続け,神経系を伝わって移動し,最後には,蟻に残った柔らかい組織全てに達する.約2週間の後,釘のようなものが,かつては蟻の頭だったものから飛び出してくる.1.5インチほどの長さになると,この釘状のものは,明るいオレンジ色の先端を持ち,胞子でいっぱいになっている.そして,森林の地面に向けて胞子を降り注ぎ始め,何も疑わずに歩き回っている他の蟻達がそれを吸い込むのだ.

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